壊れたあと、すぐには動けなかった時間

壊れたあと、
私はすぐには動けなかった。

高校時代の友だちが、
「うちに来て、ゆっくりしたら?」
と誘ってくれた。

その家は、友だちの友だちの家で、
一軒家だった。

私の友だちは、
そこに間借りをしていた。

私は、
その彼女の部屋で、
一緒に寝ていた。

最初の一か月、
私はひたすら寝ていた。

何も考えず、
ただ眠る。

実は、その家の大家さんも、
壊れた経験のある人だった。

だから、二人とも、
私がずっと寝ていて動けないことに、
何も言わなかった。

最初の頃、
一度だけ一緒にご飯を食べに行った。

それだけは、覚えている。

一か月を過ぎるころ、
私は、お洗濯ができるようになった。

台所の掃除ができるようになった。

それから、買い物に行き、
料理ができるようになった。

友だちは外で働いていて、
大家である友だちの友だちは、
在宅で仕事をしていた。

二人とも忙しい人たちで、
私の料理を喜んでくれた。

今思えば、
回復を喜んでくれていたのだと思う。

壊れたあと、
人はすぐには動けない。

少なくとも、
私はそうだった。

最初は、
ただ眠ることしかできなかった。

最初の一か月、
私はほとんど眠っていた。

それでも、
二人は何も言わなかった。

今思えば、
あの時間に守られていたのだと思う。

動けない時間があった。

けれど、
それでも時間は流れていく。

その時間が、
私の最初の回復期だった。


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