壊れたあと、
私は仕事から逃げた。
逃げた、という言葉が
一番近いと思う。
でもそれは、
間違った選択だったとは思っていない。
あのときの私は、
そうするしかなかった。
正確には、
そうせざるを得なかった。
主治医には、
働くことを止められ、
治療に専念するよう言われていた。
幸い、
夫の給与だけで生活は回った。
私は、
専業主婦という隠れみのを着た
「無職」になった。
もし独身だったら、
無職のカテゴリーに
入っていたと思う。
当時の私は、
それをいいとか悪いとか、
考える判断力を持っていなかった。
自分のキャリアが途切れる。
今ならわかる。
でも、
あの頃は
そんな冷静な判断はできなかった。
何より、
仕事をするのが怖かった。
また忙殺されること。
今よりもっと壊れること。
専業主婦でいたことを、
悪いことだとは思わない。
あの時の私には、
その選択が
ちょうどよかったのだと思う。
家事でできたことは、
洗濯と簡単な調理。
夫のほうが
料理はずっと上手だった。
それはありがたかった。
そういえば、
ガーデニングも始めた。
かなり本格的にやっていたと思う。
その時間と労力を、
仕事や家事に注げばいいのに。
そう言われるかもしれない。
でも、
ガーデニングは
私にとって救いだった。
植物が育つのを見ていると、
それだけで満足できた。
今になって、
ふと思うことはある。
仕事から逃げたことは、
私を守ってくれた。
でも、
長い人生を考えると、
キャリアを中断してよかったのか。
もし離婚していなかったら、
私は
静かに専業主婦として
生きていたかもしれない。
ただ、
梯子を外され、
生活のために
仕事をしなくてはいけなくなった。
そのとき、
職歴欄の空白の大きさに
愕然とした。
それでも思う。
あの時の私は、
仕事から逃げるしか
道はなかった。
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